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2024.05.20

cotonari通信 Vol.7(2024.05)

こんにちは!cotonari代表理事の佐藤槙子です。5月も後半。4月の新年度からゴールデンウイークを過ぎ、暮らしも少し落ち着いてきたころでしょうか。気候の良いうちに外遊びも楽しみたいですね。cocoroneやcohakuの療育でも、公園などに積極的に出かけています。では今月のブログをどうぞ。


■バラバラに分解されたミニカーに何を思う?

小学校高学年から中高生を中心に療育しているcohaku。やって来る子どもたちの遊びも、ブロックやアイロンビーズなど、細かなものも多いです。先日はおもちゃ募集のお知らせにご協力いただき、ありがとうございました! cohakuやcocoroneのおもちゃが一気に増えて、子どもたちと楽しく使わせていただいています。

レールを走る電車の遊びが好きな中1のA君。ある日、「これも好きかな?」とミニカーが集まった箱を渡してみました。「こうやって走らせるんだよ」とやり方を説明した後、しばらく見守っていると…あらら、ぜーんぶのミニカーを分解! 見事にバラバラになりました。

子どもが、スタッフである私たちの予想と違う動きをした時こそ、考えるチャンスです。「なんでミニカーを走らせるんじゃなく、分解をしたんだろう」「そういえば彼は今、くっつけたり外したりという動きが好きだったな」。さらには、1人で遊んでいることが多かったのが、最近になって人との関わりが増えてきていたことも思い出し…。

「ブロックなどの、くっつける/外すが存分にできる遊びを一緒にやって、そこでいっぱい触れ合ったり声をかけたりしていこう!」、これが方針になりました。好きなことを一緒に楽しむことで「人と関わるって楽しいな」と彼が感じて、関わりが自然に増えていくことイメージして。

子ども自身が「今」関心を示すことに、たっぷりと取り組めることは、成長を促す大きな力になります。ひたすら引き出しの中身を出すとか、音を出し続けるとか、大人にとっては困ることも多いのですが、それをできるだけ迷惑にならない形でやれる方法を考えて積極的に取り組めると、実りにつながります。ご家庭でも「ん?」と思うことがあった時こそチャンス。その背景を考えて、子どもにプラスになるよう、楽しい気持ちで対応していけるといいですね。



 
■発達障がいとトイレトレーニング

5月はおしりがヒンヤリしない♪濡れたパンツも良く乾く! これからはトイレトレーニングに良い季節でもありますね。発達障がいをもつ子の中には、オムツからパンツへの移行に時間を要する子もいます。

理由はそれぞれ。おしっこが出ることが感覚として分かりづらい、言葉での意思表示がうまくできない、トイレという空間が怖い、など。子どもを観察することで、どこがうまく行かなくて進まないのかをよく考え、ひとりひとりに合わせたサポートをしていくことが大切です。

例えば小学生のBちゃん。ご家族から「パンツにしたい」という希望もあり、トイレの練習を開始。2年ほどかかりましたが、今ではほぼパンツで失敗しないようになりました。2年前はおむつ。時間を見てトイレに誘うことから始めました。徐々にできるようになる中で、壁となったのは本人からの伝え方。発語が十分ではないので、トイレに行きたいことを言葉以外で大人に伝える方法に、工夫が必要でした。

そこで、スタッフがグッズを制作。「トイレに行きたくなったら、これを渡してね」と、彼女の近くに置いておきました。cocoroneに置く以外にも、学校用にも同じものを作って使い始めるとピッタリとはまり、成功!

今では毎日パンツで過ごせるようになり、とっても嬉しそうなBちゃん。実は、おむつを履くのはちょっと嫌そうだったんですよね。パンツはお姉ちゃん♪パンツを履いた自分は素敵♪という気持ちなのかな? この彼女の気持ちも、パンツへと移行できた大きな要因です。本人の気持ちとトレーニングのタイミングが合っていたのも、良かったなと思います。

Bちゃんのように、本人に合わせた発信方法を丁寧に探して、つくっていくことで、その大きな一歩が進むことも。私たちスタッフは、普段からしっかりと観察の目を光らせていきたいと思います!

 
■知識を膨らませること、まっさらな目で見ること

子ども一人ひとりをよく観察して、行動の背景にある「なぜ?」に思いを馳せること。いつでもこれが大切だなと思っていますが、そこには2つの目が必要だと思っています。

1つは、知識や経験をもとに推測する目。
そしてもう1つは、知識や経験に左右されないまっさらな目です。

1つ目は、想像がつきやすいですよね。それぞれに違う子どもたちを、これまでどれだけ見て来たか、知識としてどれだけ学んできたかで、それが多いほどに対応力はついてきます。cotonariでも、定期的に学んだり、知識を共有したりすることは常に大切にして、お互いのアップデートを図っています。

一方で、気を付けなければいけないなと思っているのは、その知識や経験によって「先入観」を持ってしまうこと。また、同じ子をずっと見ている時も「この子はこうだから、こうするはず」という先入観が育ってしまいがちです。

だからこそ大切にしたいのが、2つ目。
その子の特徴や対応の仕方を情報として持っていない人や時の方が、意外と「できないと思っていたことができる」「好きじゃないと思っていたことが別に大丈夫だった」と気づくきっかけになることも。

そういう意味で、他の人の意見を聞いてみることもお勧めです。自分ひとりでは1本の道しか見つけられないことも、周りの意見を聞いてみると、もっといろんな道が見つけられることもあります。cocoroneやcohakuでも、日々の写真を親御さんに送ると「こんなことができるなんて」と驚かれることもあります。2つの目をバランスよくもつことを、周りの大人が心がけていけるといいなと思います。

それではまた、次回もお楽しみに。