2024.07.18
cotonari通信 Vol.8(2024.07)
こんにちは!cotonari代表理事の佐藤槙子です。じめじめとしたお天気が続きますね。梅雨が明ければ夏休みがやって来ます。普段は放課後にやって来る子どもたちと1日付き合えるのが夏休み。体力的には大変ですが、子どもたちの成長が楽しみです。スタッフ一同、頑張っていきたいと思います! では今月のブログをどうぞ。
■絵カードを使ったコミュニケーション研修をしました
6月下旬に、土日の2日間をみっちり使ってスタッフ研修を行いました。「PECS(ぺクス/Picture Exchange Communication System)」という「絵カード交換式コミュニケーションシステム」を学ぶため、ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン(株)のネグロンさんに、講師に来ていただきました。参加者は、cotonariのスタッフを中心に、親御さんや近隣の支援者さんなど25人ほどでした。
「PECS」は、アメリカで開発されたコミュニケーション手法です。言葉でのコミュニケーションが難しい方に絵カードを使って、自発的なコミュニケーションを促します。cotonariの児童発達支援・放課後等デイサービスに通う子どもたちの中にも、言葉によるコミュニケーションが難しいお子さんが複数いらっしゃるため、日々のコミュニケーションに活用できるのではないかと実施しました。絵カードでコミュニケーションがとりやすくなると、発語を遠ざけるのでは?と言われることもありますが、PECSは、発語も促してくれることが実証されています。1日目は主に座学で理論を学び、それをもとに2日目にたっぷりと実践を行いました。
■子どもに「分からせる」ためでなく「分かる」ために絵カードを
絵カードは、発達障がいをもつ子の支援現場でも、よく使われています。ただ、充分に活用できているかというと、なかなか難しいところ。よくあるのは、スケジュールの確認などで、言葉では指示の伝わらない子どもたちに、見通しをもってもらうために絵カードで示す、という使い方。それも確かに必要で、子どもたちに分かりやすいのですが、私はもっと、子どもたち自身が相手に伝えたいことを伝えるために、絵カードを活用出来たらと思っていました。
言葉で伝えられないだけで、子どもたちには気持ちもあるし欲求もあります。それをいろいろな形で彼らなりに一生懸命表現してくれているのですが、言葉と比べれば、伝わる力は下がります。「分かってあげたいけれど分からない。もどかしい」、こちらがそんな気持ちでいる一方、子どもの側も「伝わらない」ことへの悲しい気持ち、がっかり、イライラ…そうしたものが募って、自分や他人を傷つける行為につながってしまうこともあります。
言葉が出ないなら、他の形で「伝わる」という経験と喜びを積んで、「伝えたい」「伝わったら嬉しい」という気持ちを育てて欲しい。そんな時に私が出逢ったのが「PECS」だったのです。自分で一度学んだのですが、それをcocoroneやcohakuで実践し、周りのスタッフに伝えるというのは大変でした。支援を行う際に最低2人は要る場面も多く「これは事業所全体で学びたい」とずっと考えていて、やっと今回実現しました。
研修に、親御さんの参加があったことも嬉しかったです。研修後の言葉が印象的でした。「体を痛がる時に、どこが痛いのかが分からなかったり、泣いている時に、なぜ泣いているか分からなかったりするのは辛い」。本当にそうですよね。PECSでも、気持ちを伝えるということは可能です。一足飛びにはいきませんが、少しずつ段階を踏んでいけるといいなと思います。
■新たに作った絵カードでPECSの実践が始まりました
研修後、cotonariでもすぐに変化が起きました。スタッフたちが自ら、PECSの教えに沿った絵カードを作り始めたのです。もともと、cocoroneやcohakuには絵カードがあり、これまでも絵カードでのコミュニケーションを行ってきました。でも、PECSで学んだことで、どんな絵カードが必要か、どんな使い方をしていくのが良いのか、それが体系的に分かり、自発的な改善が起こったのです。これはとても嬉しいことでした! そして、これこそがスタッフほぼ全員で同じ研修を受けた成果だと感じています。
さっそく今、その絵カードを使って、PECSを取り入れたコミュニケーションが始まっています。個々の発達に応じてこちらがするべきアプローチも変わってくるので、個別で行っている児童発達支援では取り入れやすいですが、集団療育の放課後等デイサービスではなかなか大変で、まずはおやつの時間から繰り返し実践しています。
いずれは、子どもたちそれぞれに必要とする絵カードを用意し、それをcocorone、cohaku以外の学校や他支援施設などでも使えるようになったらいいなと思っています。子どもそれぞれに、必要とすることや望むことは違うから、カードもそれぞれオリジナルで持つんです。その子の世界を大切にしている感じが、良いと思いませんか♪
そうやって周りに「伝わっている」「理解してもらえている」という経験が増え、周りの人も「どうして欲しいかが分かり、応えてあげられる」という喜びが増えたらきっと、その子も周りの人も人生が豊かになるはずです。
まずは、夏休み。普段よりも多くの時間を子どもたちと過ごせるので、PECSをしっかり使って、コミュニケーションをしていこうと思っています。子どもたちとスタッフの間に、どんな「通じた!」「伝わった!」が増えていくか、楽しみです。
■絵カードを使ったコミュニケーション研修をしました
6月下旬に、土日の2日間をみっちり使ってスタッフ研修を行いました。「PECS(ぺクス/Picture Exchange Communication System)」という「絵カード交換式コミュニケーションシステム」を学ぶため、ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン(株)のネグロンさんに、講師に来ていただきました。参加者は、cotonariのスタッフを中心に、親御さんや近隣の支援者さんなど25人ほどでした。
「PECS」は、アメリカで開発されたコミュニケーション手法です。言葉でのコミュニケーションが難しい方に絵カードを使って、自発的なコミュニケーションを促します。cotonariの児童発達支援・放課後等デイサービスに通う子どもたちの中にも、言葉によるコミュニケーションが難しいお子さんが複数いらっしゃるため、日々のコミュニケーションに活用できるのではないかと実施しました。絵カードでコミュニケーションがとりやすくなると、発語を遠ざけるのでは?と言われることもありますが、PECSは、発語も促してくれることが実証されています。1日目は主に座学で理論を学び、それをもとに2日目にたっぷりと実践を行いました。
■子どもに「分からせる」ためでなく「分かる」ために絵カードを
絵カードは、発達障がいをもつ子の支援現場でも、よく使われています。ただ、充分に活用できているかというと、なかなか難しいところ。よくあるのは、スケジュールの確認などで、言葉では指示の伝わらない子どもたちに、見通しをもってもらうために絵カードで示す、という使い方。それも確かに必要で、子どもたちに分かりやすいのですが、私はもっと、子どもたち自身が相手に伝えたいことを伝えるために、絵カードを活用出来たらと思っていました。
言葉で伝えられないだけで、子どもたちには気持ちもあるし欲求もあります。それをいろいろな形で彼らなりに一生懸命表現してくれているのですが、言葉と比べれば、伝わる力は下がります。「分かってあげたいけれど分からない。もどかしい」、こちらがそんな気持ちでいる一方、子どもの側も「伝わらない」ことへの悲しい気持ち、がっかり、イライラ…そうしたものが募って、自分や他人を傷つける行為につながってしまうこともあります。
言葉が出ないなら、他の形で「伝わる」という経験と喜びを積んで、「伝えたい」「伝わったら嬉しい」という気持ちを育てて欲しい。そんな時に私が出逢ったのが「PECS」だったのです。自分で一度学んだのですが、それをcocoroneやcohakuで実践し、周りのスタッフに伝えるというのは大変でした。支援を行う際に最低2人は要る場面も多く「これは事業所全体で学びたい」とずっと考えていて、やっと今回実現しました。
研修に、親御さんの参加があったことも嬉しかったです。研修後の言葉が印象的でした。「体を痛がる時に、どこが痛いのかが分からなかったり、泣いている時に、なぜ泣いているか分からなかったりするのは辛い」。本当にそうですよね。PECSでも、気持ちを伝えるということは可能です。一足飛びにはいきませんが、少しずつ段階を踏んでいけるといいなと思います。
■新たに作った絵カードでPECSの実践が始まりました
研修後、cotonariでもすぐに変化が起きました。スタッフたちが自ら、PECSの教えに沿った絵カードを作り始めたのです。もともと、cocoroneやcohakuには絵カードがあり、これまでも絵カードでのコミュニケーションを行ってきました。でも、PECSで学んだことで、どんな絵カードが必要か、どんな使い方をしていくのが良いのか、それが体系的に分かり、自発的な改善が起こったのです。これはとても嬉しいことでした! そして、これこそがスタッフほぼ全員で同じ研修を受けた成果だと感じています。
さっそく今、その絵カードを使って、PECSを取り入れたコミュニケーションが始まっています。個々の発達に応じてこちらがするべきアプローチも変わってくるので、個別で行っている児童発達支援では取り入れやすいですが、集団療育の放課後等デイサービスではなかなか大変で、まずはおやつの時間から繰り返し実践しています。
いずれは、子どもたちそれぞれに必要とする絵カードを用意し、それをcocorone、cohaku以外の学校や他支援施設などでも使えるようになったらいいなと思っています。子どもそれぞれに、必要とすることや望むことは違うから、カードもそれぞれオリジナルで持つんです。その子の世界を大切にしている感じが、良いと思いませんか♪
そうやって周りに「伝わっている」「理解してもらえている」という経験が増え、周りの人も「どうして欲しいかが分かり、応えてあげられる」という喜びが増えたらきっと、その子も周りの人も人生が豊かになるはずです。
まずは、夏休み。普段よりも多くの時間を子どもたちと過ごせるので、PECSをしっかり使って、コミュニケーションをしていこうと思っています。子どもたちとスタッフの間に、どんな「通じた!」「伝わった!」が増えていくか、楽しみです。