blog 

ブログ

2023.11.30

cotonari通信 Vol.4(2023.11)

■「ただいま~」の声が聞こえてきます

こんにちは!cotonari代表理事の佐藤槙子です。
暑い夏が終わったと思ったら、あっと言う間に冬が近づいてきました。今年は秋が短かったですね。皆さん、充分に季節を楽しめましたか。
 
8月にオープンしたcohakuは、3ヶ月ほどが経過。最近では、放課後にやって来るこどもたちから嬉しい声が聞こえてきます。それは「ただいま~」という言葉。また、それに続く「今日さぁ、学校でこんなことがあったんだよ」という話。cohakuの建物が、普通のお家のような一軒家だという点も関係しているかもしれませんが、彼らにとって安らげる場所になっているんだなと思うと、嬉しいです。「今日はどんな話が聞けるかな」と、私たちも楽しみに待っています。

 
■行きたい場・居心地が良い場であるために

療育をしているcocoroneやcohakuの現場には、多くのスタッフが関わってくれています。働く時間帯やその長さもさまざまで、国籍もいろいろですが、みんなで大切にしているのは「子どもの視点になって考える」ということ。最近も、スタッフの工夫で子どもたちがより楽しめたなと思うことがたくさんあったので、いくつか紹介しますね。

ひとつは「お寿司屋さん開店」。

ある子の「お寿司食べたいなぁ」という声を聞き逃さなかったスタッフ。材料を買い込んで、メニューも張り出して、お寿司屋さんを開店しちゃいました。予算とも相談しながら、子どもが好きな玉子、ハンバーグなどの寿司ネタをそろえて。cocoroneでもcohakuでもやって、子どもたちに大好評でした!



もうひとつは「〇〇がいる!」。

音楽に合わせて、指定の色の札を上げるような遊びをするための下準備をしていた時です。各色の札の上に、スタッフがあるキャラクターのイラストを貼りました。それを使って遊んでみると、「〇〇がいる!」と大喜び。遊びも熱く盛り上がりました。これも、普段から子どもたちと接する中で「この子は〇〇が好きなんだな」と分かっていたスタッフがいたおかげです。

こうした日々のプログラム作りは、スタッフ皆が知恵をしぼって準備していくのですが、「少しでも子どもたちにとって、行きたい場所、居心地が良い場所であるように」と、みんな頑張ってくれています。ひとりひとりの子にしっかりと目線を合わせ、子どもの「好き!」を大切にしてくれるスタッフがそろっていることを、いつも私は誇りに思っています。


■大切なのは、決めつけないこと

「発達障がい」とひと口に言っても、一人ひとり状況が異なるので、そこが自分たちにとっても、また社会へ理解を求めるうえでも、難しいなと感じています。先ほどのお寿司屋さんやキャラクターのイラストのように、関わる人たちがひとりひとりに関心をもって、より丁寧に見ていくことが大事なんだろうと思います。

うまく言葉で意志を表現できない子も多く、それが人を叩くとか唾を吐くなどの行動に変わってしまうことも良くあります。「叩くのは良くないよ」「唾を吐いてはいけないよ」と伝えるだけでは、解消できません。ものごとには「理由」があるからです。それを本人たちが自分で言葉にして伝えるのが難しい分、私たちが知識と経験と相手への想いで補っていくことが大切です。

例えば「人を叩く」という行動ひとつをとっても、「今の状況が嫌だから」「叩くという刺激が自分にとって気持ちいいから」「やってほしいことがあるから」「人から注目されたいから」など、その時々にそれぞれの理由があります。「叩く」という行為を減らすためには、その背景を知ることが必要です。伝えたいことがあるなら、それを引き出す方法を考える、気持ちいい感覚を求めているなら、それより気持ちよい代替手段を考える、注目されたいなら、いつも見てもらえているという安心感を与えるなど、原因が違えば、対処法も変わってきます。

私たちにできることは「なぜ、そうするのか?」を、寄り添って考えること。そしてそれを助けてくれる知識や経験を重ねることです。cocorone&cohakuの療育では、疑問をもった時には調べたり、スタッフ間で意見を出し合ったりするようにしています。

そうした上でもっていたい姿勢があります。それは「決めつけない」こと。私たちなりに「こうだろう」という見立てはもちながらも、それとセットで「違うかもしれない」という可能性を常に頭において、子どもと向き合うようにしています。本当に、ひとりひとり、違うんです。知識や経験を過信せず、目の前の子どもをしっかりと見ることを、丁寧に行っていける事業所でありたいなと思っています。
 

***

さて、2024年のことが気になる時期になってきましたね。クリスマスやお正月など、イベントごとも増える時期ですが、これもまた、子どもに寄り添って…。非日常的なことがとっても苦手な子もいます。そうした子は「いつも同じ」が一番安心できるので、見通しが持てる環境の中で、「いつもと同じ」にちょっとプラスして楽しい経験ができるよう工夫しています。

cotonari通信(ブログ)も次回は2024年になります。今年4月から再開したブログを、多くの方に読んでいただきありがとうございました。来年も皆さんのお役に立てるよう、療育や発達障がいについて伝えていけるような場にしていきたいと思っています。